軽減税率にはデメリットも
消費税増税を急務とする野田政権が今になって、軽減税率の導入を検討する、との意向を見せ始めた。増税により、低所得者層ほど負担が大きくなるため、食料品などの必需品に低い税率を適用するもの。一見、合理的に見えるが、デメリットを指摘する声も大きい。
官僚の天下り拡大
軽減税率はすでに、欧米などで広く実施されている。ただ、品目ごとの税率差が混乱や癒着を生む例も報告されている。
フランスでは、マーガリンは19.6%だが、バターは5.5%に設定されている。酪農家を保護するためだ。海外からの輸入が大半を占めるキャビアは19.6%なのに、同じく高級食材でも、国内で生産されるフォアグラは5%にとどまる。
ドイツでは同じハンバーガーでも、店内で食べれば19%だが、テイクアウトなら7%ですむ。
このように、品目ごとに税率が分けられるが、その決定を下すのは、現場に近い官僚たちだ。
当然、消費税を安くとどめてもらいたい、と願う産業では、官僚への利権供与が活発化する。その一つが天下り先の提供だ。こういった不具合が目立ち始めたため、欧米でも軽減税率を見直す気運がある。
銭湯の軽減税率は継続?
なにかと話題の多い橋下徹大阪市長は、銭湯への固定資産税の軽減措置に異論を唱える。公共性の高い施設として、銭湯の固定資産税は2/3が減免されてきたが、橋下市長は「見えにくい支援」として、補助金への切り替えを示唆した。
これに対して大阪市議会は23日、固定資産税軽減措置の継続を求める府公衆浴場組合の陳情書を採択。維新の会も陳情書には賛同を示した。
マスコミは軽減税率礼賛
大手マスコミはいっせいに、軽減税率礼賛にかたよっている。新聞について、軽減税率が適用されるもの、と期待してのことだ。
昨年7月には、日本新聞協会が軽減税率適用を求める要望書を提出しており、賛成の論陣を張ることで、「お礼」が得られるものと期待しているようだ。
◆財務省
http://www.mof.go.jp/◆現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32504