1か月の沈黙を破って
母親の生活保護費不正受給で物議を醸してきたお笑い芸人、河本準一が25日、1か月にわたる沈黙を破って、記者会見をおこなった。一見、謝罪に見えるが、不正はないと強弁。疑惑の焦点についてはほとんど語られなかった。
お金のことと親族のことは質問するな
会見は冒頭から吉本による「やらせ」の雰囲気が色濃いものだった。質疑応答に入る直前、よしもとクリエイティブエージェンシーの広報が、お金のことと本人や家族のプライバシーに関することは質問するな、と条件設定したのだ。
生活保護について、不正のあるなしが問題視されているのだ。お金のことと家族のことを明らかにせずして、不正がなかったことは証明できない。
「質問するな」というのは、最初から身の潔白を証すつもりはない、と言い切ったに等しい。
悪いのは福祉事務所
河本準一によると、母親が生活保護費を受給し始めたのは、14~15年前のことだという。それまでスーパーの鮮魚売り場ではたらいていたが、体調を崩し、仕事をできなくなったことがきっかけだった。
当時、河本の年収は100万円にも満たなかったため、援助することができず、生活保護費を受給し始めた、とのこと。事実であれば、ここまでには問題視すべき部分は見当たらない。
その後、河本はじょじょに成功。5~6年前からは経済的な余裕が生じたため、福祉事務所の援助要請に対し、「援助できる」と回答したという。
ここで問題となるのは、いくら援助し、その分の生活保護費はきちんと減額されていたのか、という点だが、お金のこと、家族のことは明らかにされない。
「福祉事務所と話し合って決めた」とくり返すのみで、もし本当であれば、自民党のプロジェクトチームは、福祉事務所の責任を問うべきだろう。
道義的責任だけ 不正はなかった
会見の中で何度もくり返されたのが、「不正受給ではない」という河本と吉本興業の認識だ。不正があれば、それなりの処分を受け、番組の降板や広告などに起用したスポンサーからの賠償請求もあり得るためだ。
河本の状況説明をそのまま受け取っても、なお5~6年前に経済的な余裕が生じた後も一定の援助をおこないながら、なおかつ生活保護費を受給していたことになる。
不正なしにこういったことが可能だったとは、にわかに信じがたい。会見の中で、何度も自身の生活不安を語っているが、年収は数千万円規模といわれる。また母親をネタにした著書では約4000万円の印税収入があったと推測されている。
飲み代に数十万円を費やすことも珍しくなく、数百万円単位の腕時計コレクションを自慢する姿もネット上で公開されている。
「オカン」との関係も、本人が各所で語っていることを信じるなら、一般的な関係以上に良好だったものと思われる。
こういった人物に「十分な援助」を求めなかったのだとしたら、正当な職務を果たさなかったものとして、岡山市の福祉事務所が処断されるべきだろう。
返還は俺の心意気
「不正はなかった」とのファンタジーにしがみつかねばならないため、会見の論調は、奇妙なものとなっている。
不正がなかったのであれば、返還する義務はまったくないはずだが、ご用記者からの「融資的に福祉の方にお返ししたいということか」との質問を受けた河本は、「これは自分の気持ち」と回答。
あたかも「心意気」の披露といわんばかりの答えを返したのだ。返還分は「援助できたのに生活保護を受給していた」5~6年分だという。
金額にして1,000万円弱になる。今週発売された「週刊新潮」によると、生活保護を受けている河本準一の親族は母親だけではない。
先日、片山さつきに噛みついた姉と2人の叔母を含め、4人で合計1億円弱を受給してきたとのこと。涙の会見で放免するには、あくどさが過ぎる。
◆日刊サイゾー
http://www.cyzo.com/2012/05/post_10662.html◆河本準一のイラッとくる韓国語講座
http://www.tv-tokyo.co.jp/irakan/