名大医学系研究科チームが心筋梗塞を抑制するホルモンを特定
名古屋大学大学院医学系研究科の大内乗有教授や室原豊明教授らのチームが、心筋梗塞を抑制するホルモンをマウス実験で特定した。がんに次いで日本人の死因で多い心臓病のひとつである心筋梗塞は、動脈硬化によって血管が詰まり、十分な栄養が心臓に行き渡らなくなる病気。細胞死が進み心停止に至ることもあるという。
肥満は心筋梗塞を引き起こす原因のひとつであり、脂肪から放出されるホルモン「CTRP9」に大内教授らは注目した。ふたつにグループ分けしたマウスの一方に大量にこの「CTRP9」ホルモンを投与し、両方のマウスの心臓の動脈を一定時間縛って血流を悪くしたところ、ホルモン投与をしたグループのマウスのほうが心筋梗塞を起こす割合が、もう一方の7割程度にとどまった。
肥満のマウスの血中のホルモンが、健康なマウスのホルモンの半分程度であることも判明し、肥満でホルモンが減少すると心筋梗塞になりやすいという結果が出た。
ホルモン特定で今後の医療体制に期待
大内教授は、「肥満状態で低下するホルモンを正常値に戻す薬剤開発に繋がる。心筋梗塞が起きた後の投与でも効果があり急性期の補助療法にも期待できる」と話している。
名古屋大学「研究教育成果情報」
http://www.nagoya-u.ac.jp/research/activities/achieve/急性心筋梗塞に効果のある脂肪由来の善玉ホルモンを発見
http://www.nagoya-u.ac.jp/research/pdf/activities/20120507_med.pdf?20120510