掲載を見合わせていた論文を
鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスについては、テロリストに悪用される恐れがあるとして論文の公開が見合わされていた。3日英ネイチャー誌電子版にこの論文が掲載された。
作るのが難しいので
現在、自然界に存在する同ウイルスは、人への感染力が弱い。毒性が強く、アジアなどで人に感染したケースでは、60%が死亡しているが、パンデミックが発生していないのは、容易に人から人へ感染しないためだ。
このウイルスの遺伝子を変異させると、人に対する強い感染力を保持するようになる。生物兵器として用いられる可能性もあるため、米政府の諮問機関NSABBが論文の掲載を見合わせるよう要請していた。
論文を著述しているのは、東京大医科学研究所の河岡義裕教授らのグループとオランダ・エラスムス医療センターの研究チーム。
今回、河岡教授の論文は工程が難しく、「たいていのテロ集団の能力を超えている」として、NSABBから全会一致で掲載許可が出された。
オランダ・エラスムス医療センターの論文についても12対6の賛成多数で、同じく発表が許可された。
遺伝子操作で毒性は低下
実験では、遺伝子操作によって作られたウイルスをフェレットに感染させる動物実験が行われた。
フェレットはインフルエンザへの感受性が人間に近い動物。感染したフェレットの症状はいずれも軽く、抗ウイルス剤が効果を上げたという。
◆NHK NEWS
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120503/k10014874121000.html