長野県議が視察報告
東日本大震災で発生したがれきの広域処理を巡って、国民を真っ二つに分ける論争が巻き起こっている。だがその原因は、国と被災県、ゼネコンの談合にあることを現地調査を行った長野県議、ふじおか義英さんがTweetした。
市町村からがれき処理を取り上げた
そもそもがれきの処理は被災地の各市町村が行うはずだった。県は処理施設も最終処分場も持たないためだ。
この処理業務を県や国は取り上げて地区ごとにまとめ、大手ゼネコンに丸投げする方式をとった。
代表的な例が県内を4つのブロックに分けた宮城県だ。気仙沼・石巻・宮城東部、亘理名取の4ブロックに分け、地域ごとにゼネコンに処理業務を落札させた。
鹿島・西松・大林・間組・フジタ・JFE・清水などのゼネコンがきれいに分担して落札したが、この落札には環境省と大手ゼネコンによる談合があったことを産経ニュースも報じている。
2日で決まった鹿島の2000億円
このうち石巻ブロックは846万トンと最大量のがれきを抱える地域だ。これは岩手県や福島県を合わせた量よりもさらに多い。
宮城県議会はたった2日間の議会で、2000億円の予算でこのがれき処理を鹿島JVに任せることを決めた。
2000億円は宮城県が組む年間予算の約1/4にあたる。現在、落札には談合があったものとして、公正取引委員会が調査を進めている。
まとめたため必要になった広域処理
広域処理が必要になったのはこのように、県がゼネコンに一括処理させるために、がれき処理をとりまとめてしまったためだ。
国や県が横槍を入れなければ、ほとんどの地域で、地元業者と地元の市町村によりがれきの処理が可能だった。実際、仙台市は市がイニシアチブをとり、135万トンあるといわれるがれきの処理にあたっている。
地元業者を優先的に採用し、ゼネコンは入れていないが、十分に処理できている。
一方、宮城県はほかの多くの地域を大きなブロックにまとめ、ブロックごとの処理を行うこととした。
このため大量のがれきを一括処理する必要が生じ、他県への運び出しが必要となってしまったのだ。
鹿島JVは契約当初から、がれきの処理の約半分を県外で行う予定だったが、放射能汚染を懸念する各地自治体に受け入れを断られたことから、計画が行き詰まった。
環境省が今年3月から、突如としてがれきの広域処理キャンペーンを始めたのは、この行き詰まりを解消するためである。
ゼネコンの利益を確保するため、全国に汚染がれきを拡散しようとしているのだ。
放射能検査は1か月に1度
さらに、再三環境省などが「安全」を強調するがれきの放射能汚染についても、視察したふじおか県議は疑問を呈す。
宮城県から東京都に運び込まれているがれきは、ダンプに乗せたコンテナごとに外から空間放射線量を計測しているだけだという。
実際にどのくらい放射性物質が含まれているのか、という検査は1か月に1度行うだけだ。
これで安全が確保できている、という発想はいったいどこから出てくるのだろう。
民主党政権は本質的に愚鈍だが、さらに「意図的に愚鈍さを装う」というややこしい政治手法を駆使する。
ただ、本意はゼネコンの利益にあると見定めれば、理解は容易だ。
◆ふじおか義英長野県議の被災地視察ツイート
http://togetter.com/li/283920◆広域処理情報サイト
http://kouikishori.env.go.jp/