国民皆保険は違憲か?
オバマ米大統領は2日、違憲性が議論されている医療保険制度改革法について、最高裁判所が違憲判決を下すことはない、という見通しを示した。
民主党政権の悲願
日本のような国民皆保険制度を導入することは、民主党政権の悲願とされてきた。1994年には、当時のクリントン政権が挑むも議会で否決されている。
米国の医療費は非常に高額である。2000年にAIU生命が発表した「盲腸の手術費用ランキング」によると、1日入院する一般的な盲腸手術の費用が、ニューヨークでは平均243万円、ロサンゼルスでは194万円かかるという。
もし医療保険に加入していなければ、こういった高額の医療費を自己負担することになるため、公的な健康保険制度を求める声は高い。
加入の義務付けは憲法に違反する
今回、医療保険制度改革が最高裁に提訴されているのは、国民に対して加入を義務づけていることを「違憲」とする考えによる。
これに対して医療保険制度改革を目玉政策に掲げてきたオバマ大統領は、選挙により選ばれた議員が正規の手続きにもとづいて制定した法律を司法がくつがえすのは司法の欠陥、と断じた。
実際には中身が荒い法案
高額な医療費を思えば、ぜひとも必要と感じられる医療保険制度改革だが、具体的な内容については、危惧する声も高い。
著名な経済評論家ロバートJ.シャピロ氏は、中流家庭にとって、年収の約1/3をこの医療保険に費やすことになる、と警告する。
ドイツなどと異なり、収入に応じて保険料が上下する部分が小さいため、富裕層にくらべ中流以下の家庭で負担が増す。
「原理は高潔だが、誰がそのコストを支払うのか、については粗雑に取り決められている」ことを最高裁判所でも議論しているという。
◆CNN
http://globalpublicsquare.blogs.cnn.com/2012/04/03/the-costs-of-overturning-obamas-health-care-reforms/