大量運搬に手を使うため
人類が二足歩行になったのは、限られた食糧などを仲間にとられないよう、一気に大量運搬するためだった。こんな新説を日、英、米、ポルトガル4か国の研究チームが米学術誌「カレント・バイオロジー」に発表した。
泥棒するときも2足歩行
研究はギニア、ボッソウ森林に住むチンパンジーを対象に行われた。
英オックスフォード大学のホッキングス博士が近隣の畑に出没するチンパンジーを観察したところ、作物を持って逃げる際には、35%の確率で2足歩行する姿が観察された。
また京都大学霊長類研究所の松沢哲郎教授が主導した研究では、チンパンジーに2種類のナッツ類を与えた。
近辺でよくみられるアブラヤシの実と、近辺では珍しいクーラの実を与えたところ、チンパンジーはクーラの実を独占するために、両手だけでなく口まで使って、1度に大量のクーラを運ぼうとした。
この際には、アブラヤシのみを与えたときにくらべ、4倍の頻度で2足歩行したという。
いつから強欲になったのか?
人類の2足歩行については、29日付けの英科学誌「ネイチャー」にも、新しい発見が掲載されている。
米クリーブランド自然史博物館などの研究チームが、アフリカ東部のエチオピアで、約340万年前にいたとみられる初期人類の足骨化石を発見したのだ。
足の親指がものをつかめるようほかの指と対向している特徴から、この初期人類は完全な2足歩行ではなく、チンパンジーなどに近い歩き方をしていたものとみられる。
人類が強欲さを増すのは、これ以降のことと言えそうだ。

◆Nature
http://www.nature.com/nature/index.html