怒りと謝罪の関係が判明
ビジネスでは相手の仕事に対して批判的な文書を送ることもある。そんなとき、相手の対応が気になるが、末尾に謝罪の文章を加えておくと、「攻撃性」を抑えられることが、名古屋大学の研究でわかった。
謝罪のあるなしで脳に変化
研究を発表したのは、名古屋大学大学院情報科学研究科の川合伸幸准教授と科学技術振興機構(JST)の久保賢太研究員らのグループ。
男女48人の大学生に社会的な問題に対する意見を書かせ、その後、「大学生が書いた文章とは思えません。この人には学校で一生懸命勉強してもらいたいです」というコメントをつけて返却した。
このうち半数には、コメントの最後に「こんなコメントしてすみません」との謝罪文をつけた。
謝罪がなかったグループでは、脳の左右が不均衡に活動し、心拍数の上昇が観察された。心理反応でも攻撃性と不快感の高まりがみられた。
一方、謝罪文つきのグループでは、脳の活動に不均衡はみられず、心拍数もそれほど上昇しなかった。心理反応では、不快感はみられたものの、攻撃性はあらわれなかった。
末尾の一言で人間関係が変わる。
敵を作りたくなければ、末尾にちょっとした謝罪文をつけるだけで大きな効果があるらしい。
ただし、攻撃性を抑える効果はあるが、相手が感じる不快感はほぼ同じなので、注意が必要だ。
メールを使ったコミュニケーションが増える中、この知識は非常に価値が高い。
◆「謝罪」の効果を複数の指標で分析し、その効果を解明
http://www.nagoya-u.ac.jp/research/pdf/activities/20120324_is.pdf