原発事故はボクシングか?
福島第1原発の事故から1年を迎えるにあたって、京都大学の山名元教授が、またしても迷言を披露した。原発事故の影響をボクシングにたとえたものだ。
ボディーブローの影響が
同コメントは、9日付けの産経新聞に掲載された。福島第1原発を視察した経験に触れ、下記のように語ったものだ。
このように、現地における修復段階への移行を実感できたのであるが、対照的に、我が国のエネルギー戦略については、混乱から収束への道筋が見えない。福島県では、「アッパーカット」を食らいながらも立ち上がる底力と復興への意思が伝わってくるのに、国のエネルギー危機については「ボディーブローの影響」がじわじわ進行しているように見えるのだ。(産経新聞より一部抜粋)
放射性物質の拡散による汚染をアッパーカットにたとえ、脱原発によるロスや負担をボディーブローにたとえている。
一見、国のエネルギー事情を憂いているように読めるが、「誰が誰にアッパーカットを食らわしたのか」という構図は抜け落ちている。
誰が誰にアッパー?
アッパーカットを放ったのは東京電力であり、食らったのは日本国民だ。立ち上がって試合を続けるなら、今度は東京電力に対して、全力のパンチを打ち込むことになろう。
対して、国のエネルギー事情にボディーブローを打ち続けているのは、誰だとおもっているのか?
同教授のコラムを読む限りでは、「原発再開に反対する無知蒙昧な輩」ということになりそうだ。
2つの試合は対戦相手が異なるまったく別のカードであり、同一のリング上で行われるものではない。
楽観的計画はリスクが高い
同教授は、東京電力から巨額の寄付を受けていたことで知られる。この件について質問された際には、「原子力を前にすすめるための寄付なら受ける。癒着ではない。よい原子力のためには業界との協力は必要だ」と開き直って見せた。
産経新聞に掲載されたコラムでは、「脱原発・再生エネルギー促進」の考えについて、「楽観的計画はリスクが高い」と断じている。
「地震国日本で、原子力発電を安全に利用し続ける」という計画こそ、楽観的計画ではなかろうか?
◆山名 元 研究室
http://hlweb.rri.kyoto-u.ac.jp/npc-lab/