糖質制限食により死亡リスク上昇の可能性
国立国際医療研究センター糖尿病研究連携部は1月25日、糖質制限(低炭水化物)食の長期的な実施は、死亡リスクを高める可能性があることを発表した。
糖質制限食はダイエットや生活習慣病の改善に効果があるなどとされているが、長期的な実施による効果や安全性については、不明とされている。
そこで、能登洋氏を中心とした研究グループは、海外の医学論文をもとに、糖質制限食の危険性についての解析を行った。その結果、糖質制限食を長期的に行うことによって、死亡リスク・心血管疾患リスクが上昇することが判明した。
ただし、この結果は全て海外のサンプルをもとに検証を行って得られたものであり、食習慣が異なる日本人にも当てはまるかどうかは、あらためて調べる必要があるとしている。
全ての死亡リスクが高い、低糖質食遵守者
研究グループは、昨年9月12日までに発表された糖質制限食に関する海外の論文のなかから、ヒトの死亡率などを調べた9論文を選び、そのデータを統計的手法を用いて解析を行った。
対象者27万2216人(女性66%、追跡期間5~26年)、総死亡数1万5981人の総カロリーに占める糖質の割合をスコア化し、検証を行った結果、低糖質群は全ての死亡リスクが31%有意に高値であり(調整リスク比の95%信頼区間は1.07-1.59)、糖質制限食の長期的な実施による効果は認められないことが判明した。
また、低糖質群と高糖質群を比較したところ、低糖質群の方が心血管による死亡リスクが10%高い(同0.98-1.24)ことも判明した。
この研究成果は「PLoS ONE」オンライン版に発表されている(原題は「Low-Carbohydrate Diets and All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies」)。
(独)国立国際医療研究センター病院 糖尿病研究連携部ホームページ
http://ncgm-dm.jp/renkeibu/bunken_36.html