関係閣僚会議での合意
政府は8月12日に原子力行政をめぐる関係閣僚会議を行った。これは3月の東日本大震災の際に発生した東京電力福島第1原発の事故を踏まえた原子力安全規制の組織見直しのためのものだ。
今回の関係閣僚会議で、2012年4月に環境省に「原子力安全庁」を新設する旨の合意をした。15日に閣議決定される予定だ。原子力推進を謳う経済産業省から原子力の安全確保のための監査機関を切り離すためである。
原子力安全庁の人選についても行政組織の人にこだわらず、原子力に理解があり、危機管理ができる人を起用する予定だ。そして原子力発電所を新設したり増設したりする際に行う許認可の管轄も経済産業大臣から環境大臣に移管される予定だ。
15日に閣議決定したら、政府は2012年4月に原子力安全庁が発足するよう準備にかかる予定だ。
今までの原子力行政
現在、経済産業省の一機関で、資源エネルギー庁の特別の機関とされている原子力安全・保安院がある。この原子力安全・保安院は、2001年に行われた中央省庁改編の際に新設された機関である。
2011年3月に発生した東日本大震災の際に福島第一原子力発電所の事故が起こったことをきっかけとして、菅首相は海外と同じように原子力を推進する機関と原子力を監視する機関とを分離すべきとの考えから、それを具体化する方策について検討してきた。
これを受け、当初は内閣府に移管するなどの意見も出ていたが、今回の関係閣僚会議では環境省に設置することで合意した。
今まで原子力推進と監査を同じ機関が担っていたことに驚きを隠せないが、新たな機関ができることで縦割り行政になり、責任の所在が明確にならなかったり、何か起こったときに責任の擦りつけ合いにならないことを祈るばかりだ。
内閣府
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