学会総会で各方面に緊急提言
日本うつ病学会は1日、東日本大震災に対する緊急提言をまとめ、大阪市で開催された総会で発表した。
提言は震災対策提言作成委員会が作成したもので、被災者やその支援者、および報道関係者などに向けてメッセージを送っている。
被災者を励まし元気づけるためのアクションが時として彼らを追い込むことも
あの大震災からもうすぐ4か月を迎える。被災者がこの時期、繰り返し励ましを受けたり、マスメディアによる過激な報道があると、当時を思い出してストレス性の病気を発症したり、また心の病が悪化する恐れがある。
被災者に対して、悲しみやストレス、身体の不調など困っていることを素直に打ち明け、早めに医療機関や支援チームに相談することをためらわないよう呼びかけている。
学会によると、心の傷の多くは時間の経過とともに軽くなるが、そのうち2割は症状が悪化したり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する可能性があるという。提言では、
被災者に対しての励ましは大切だが、「がんばれ」「強く」「絶対」あるいは「大丈夫」といった言葉がともすればつらく、また「何をどうがんばればよいのか」「これ以上、どうがんばれというのか」という思いがあることも知ってほしい
としている。
震災関連報道の課題
また、報道関係者に対しては、テレビなどを通じて流れる画像や音声は、被災者にフラッシュバックを起こさせる要因となり、現在遠方で避難生活する人にも影響を与えかねないとし、被災者の立場に配慮して適切な情報を伝えてほしいとしている。
原発問題に関しても、放射能汚染に対する国民の不安は広がっており、さらに風評被害が追い打ちをかけ、自殺者が出ているという事実がある。報道には細心の注意と、正確な情報を伝えてほしいとしている。
日本うつ病学会東日本大震災で被災された方々と対策を担う方々へ(日本うつ病学会 提言より)