除染効果がカラーマップで一目瞭然
千葉県や東京都内で高い放射線量が計測されるいわゆる「ホットスポット」が次々と発見されている。
除染作業の必要性が叫ばれる中、独立行政法人日本原子力研究開発機構はこのほど、除染の効果が一目でわかるソフトを無料配布すると発表した。
最適な除染方法を検討するために
同ソフトは、文部科学省が発表している航空機モニタリングデータをもとに、空間線量の分布を評価。地図上で除染される範囲を指定すると、除染後の空間線量を計算してカラーマップとして表示する。
日本原子力研究開発機構では、最適な除染方法を短期間で検討できる、としている。
信頼性が薄い航空機モニタリング
ただ、信頼性については疑問符がつく。航空機モニタリングの結果に基づいているが、文科省が発表しているデータでは、世田谷区の高濃度汚染は表示されていない。
世田谷区全域が最も低い10キロベクレル/㎡以下と表示されているだけだ。ケースによっては、原発事故とは無関係なラジウム汚染の可能性が指摘されているが、いずれにせよ航空機によるおおざっぱな観測では、とらえきれていないのが実情だ。
雨水などによる天然濃縮が進む中、原発事故による「ホットスポット」は今後さらに増加し、汚染度合いが高まるものと予測されている。
日本原子力研究開発機構は同ソフトについて、「3次元で詳細に放射線の挙動を計算するコードとほぼ同程度の精度」というが、航空機モニタリング上に存在しないホットスポットの除染効果を計算することは、ほとんど不可能だろう。
除染は無駄で無理
当サイトですでに紹介したが、チェルノブイリ事故当時、対策にあたったウクライナの専門家は聞き取りに訪れたみんなの党、柿沢議員に対し、「除染は無駄だった。同じ失敗を繰り返さないでほしい」と語っている。
福島で行われた除染の評価では、瓦屋根やアスファルトの除染について、放射線量が2割しか減らないことが判明した。
地表面の多くがコンクリートやアスファルトで覆われている東京において除染活動を行うのは、現実を無視した「悪あがき」だろう。
経済的な観点から、大人の避難は難しいとしても、各地域の放射線量を細密に測定し、危険と判断される地域から子どもたちだけでも避難させるのが、科学的かつ人道的な判断と思われる。
◆JAEA 原子力基礎工学研究部門 除染効果評価システム
http://nsed.jaea.go.jp/josen/