融通された血税を返す必要なし
福島第一原発事故に対する賠償問題で怪しい動きがある。政府は東電に賠償義務がある、としているが、賠償には一企業がまかなえるはずもない兆単位の資金を要する。
これをひねり出すために、原子力損害賠償支援機構から血税が融通される予定だが、東電には返済義務がない、というのだ。
28日の現代ビジネスが詳細について報じた。
政府見解は「著しく大規模な原子力損害」ではない?
原子力事故の賠償ついては、いくつかの法律がある。機構法51条や68条と呼ばれるものだが、それぞれ交付国債や現金による支援について規定している。
その一部には、融資を受けた東電側に返済義務がない、ととれる文言があるという。
10月24日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、この件についてみんなの党、柿沢未途衆院議員から質問を受けた枝野経産大臣は「その条文を使うつもりはない」と答えた。
根拠として今回の事故を機構法が返済免除の対象とする「著しく大規模な原子力損害の発生で膨大な賠償額が生じている場合」と想定しないためとした。
福島の惨状をもって「著しき大規模」ではなく「膨大な賠償額が生じている場合」でもないとしたら、同法が想定しているのは一体どんな規模の事故なのか。
こういった詭弁によらなければ血税が返ってこない、というのが真相と思われる。
現代ビジネスによると、年間被曝量1ミリシーベルト以上の地域は、国土の3%にのぼるという。その除染を行い、費用を賠償するには、100年、200年という年月が要される。
その間もこの「詭弁」が通用し続けなければ、東電は借用した血税を返さないだろう。
◆現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/24638