民法900条をめぐる問題
民法900条は、法律上結婚していない男女間に生まれた子供(非嫡出子)が遺産相続する場合、その相続分は法律上の夫婦間の子供(=嫡出子)の2分の1とする旨、規定する。
この民法の規定が、憲法14条で規定する「法の下の平等」に反するか否かについて過去にいくつかの裁判で争われてきた。この点について、1995年に最高裁判所が、民法のこの規定を「合憲」と判断したため、法改正という動きはなかった。
ところが2011年8月、大阪高等裁判所が、この民法の規定について「違憲」とする決定をし、それが確定したことがわかった。今回の決定は最高裁判所ではなく高等裁判所が行ったものであるが、これを受けて民法改正の動きが出るか否かが気になるところだ。
大阪高等裁判所の決定
2008年に死亡した大阪府の男性の遺産相続をめぐって家事審判が行われた。この家事審判の当事者は、死亡した男性の妻と、嫡出子3人と、非嫡出子1人であった。
2011年4月、大阪家庭裁判所は、非嫡出子は嫡出子の2分の1の相続分とする民法の規定に沿った遺産分割を命じた。これを不服として非嫡出子側が大阪高裁に抗告した。
2011年8月、大阪高等裁判所は、法律で嫡出子と非嫡出子の地位に差を設けることで差別を助長しかねないことを理由に、この民法の規定は「法の下の平等を定めた憲法に違反し無効」という決定を行った。
大阪高等裁判所は、1995年の最高裁判所の決定以降、家族生活や親子関係の実態が変化し、国民の意識も多様化していることから、嫡出子と非嫡出子で区別するのを放置することは、立法の裁量の限界を超えていると指摘している。
この大阪高等裁判所の決定を受け、与野党や法務省がどのような動きをするのか注目したい。
大阪高等裁判所
http://www.courts.go.jp/osaka-h/