振り切れない広帯域強震計を活用へ
気象庁は、東日本大震災を受け、巨大地震が発生した際にも針が振り切れずに地震の規模を決定できる振り切れない広帯域強震計を活用することを決めた。
この振り切れない広帯域強震計を活用することで、大地震発生後15分程度で精度の高いマグニチュードを算定し、津波警報をより正確に出せるよう改善することが狙いだ。
広帯域強震計を活用する背景
気象庁精密地震観測室は、海外で発生するマグニチュード6程度以上の大地震を対象として、海外の大地震観測技術を導入し、早期に震源を決定する手法を開発している。この手法で得られた震源などを気象庁本庁へ連絡し、マグニチュードが計算できるまでの参考としている。
しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災の際に、国内の地震データとこの手法を用いたところ、地震発生約10分後にマグニチュード9.0、約13分後にマグニチュード9.1を示したものの、針が振り切れていたため、正確なデータとはいえず、気象庁本庁へ報告できなかった。
そこで今回、振り切れない広帯域強震計を活用することを決めた。自然災害は技術の進歩を待ってくれないため、できるだけ早く振り切れない広帯域強震計を活用して欲しいものだ。
気象庁精密地震観測室で試算した「平成23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震」のマグニチュードについて
http://www.jma.go.jp/jma/press/1109/10a/kaisetsu201109101100.pdf