除染は無駄な公共事業
NYタイムズは7日、福島県などで進む除染活動について疑念を示す記事を掲載した。
莫大な費用と手間をかける除染は『ホワイトエレファント(無用の長物)』と批判。試験的に行われている除染活動がすでに立ち往生している、と報じた。
生きているうちには帰れない
福島第一原子力発電所の事故で汚染された避難地域では、自衛隊員などをつぎ込んで除染活動が続いている。
除染が必要な地域は、「コネティカット州ほどの広さ(NYタイムズ紙)」があり、数千、数万の建物も含まれる。山林はすべて伐採し、表土を削り取る必要がある。
要する費用は莫大で、手間は計り知れない。また、除染で生じた汚染土砂を保管する必要があるが、現在行われている試験的な除染ですら、すでに汚染土の保管場所がなく、行き詰まりを見せているという。
NYタイムズの取材に答えた東京大学アイソトープ研究所の児玉龍彦教授は「除染は必要」としながらも、「避難している人たちは生きているうちには帰れないことを受け入れるべき」とコメントした。
日本政府はこれまでと同じ
また除染のみに躍起になっている日本政府について、「原発事故以来のパターン通りに動いている」と皮肉った。「危険を軽視し、事故の規模を過小化してみせるのに懸命」なのが日本政府だという。
丁寧な除染を行っても、汚染が25%程度しか減らなかった、という神戸大学大学院海事科学研究科、山内知也教授のコメントを掲載。
「除染すれば帰還できる」という非現実的な希望を避難者に与えることで、一刻も早く帰りたい高齢者層と、子どもを危険にさらしたくない若年者層の間に軋轢を生んでいる現状をレポートした。
◆ニューヨーク・タイムズ
http://www.nytimes.com/2011/12/07/world/asia/japans-huge-nuclear-cleanup-makes-returning-home-a-goal.html