通信を断念、落花へ
火星軌道への移行に失敗し、地球衛星軌道上を回っているロシアの火星探査機「フォボス・グルント」について、ロシア連邦宇宙局は9日にも交信を断念する。
早ければ今月中にも、同機は地球に落下してくる。
1度は交信に成功したが
同探査機は、11月9日、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。打ち上げロケットと分離後、メインエンジンが点火しなかったため、火星への軌道に移行できず、地球の衛星軌道上を回ることとなった。
新たなプログラムを送信し、再度火星に向かう軌道に乗せるため、同機への通信が試みられた。11月22日には信号を数回受信したが、連絡確保にはいたらなかった。
インタファクス通信によると、ロシア側からの要請を受けて欧州宇宙機関(ESA)が9日まで再度の交信を試みている。
通信が確保できなかった場合、同機は地球に落下してくる。フォボス・グルントの重量は13.5トン。10月にインド洋に落下したドイツの衛星ROSATが1.7トン程度とされており、比較するとかなり大きい。
搭載燃料は毒性の強いヒドラジン系
フォボス・グルントはヒドラジン系の燃料を搭載しているという。ヒドラジンは皮膚に触れると火傷を生じ、吸引すれば中毒症状を発症する。また発がんの危険性も指摘される毒物だ。
フォボス・グルントの制作費用は約50億ルーブル(約123億円)。中国の火星探査機「蛍火1号」を搭載している。
◆sorae.jp
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