思いやりのある人は遺伝子タイプが違う
人に対する思いやりを示し、人を助けるなど、他人と積極的に関わろうとする行動を「向社会行動」と呼ぶ。
特定の遺伝子タイプに、この向社会行動を促進する傾向が見られることを米オレゴン州立大学のSarina Rodrigues Saturn博士らが研究発表した。
決め手はオキシトシン受容体
研究では、神経伝達物質でもあるホルモン、オキシトシンに注目。受容体の遺伝的な変異が共感性ストレスへ似対する反応に関連していることから、向社会行動との関連を調べた。
この遺伝子型にはGG、AG、 AAの3タイプがある。研究者はまずそれぞれのタイプを持つ被験者のカップル23組をビデオ撮影した。
カップルの一方が人生で最も苦痛を感じた出来事について語り、もう一方にこれを聞くよう指示。聞き手の表情や仕草など、非言語的な反応を中心に撮影を行った。
その後、別のカップルにビデオ映像を見せ、聞き手の親切さ、信頼性、思いやり気遣いなどが、どの程度に感じられたか、評価させた。
その結果、GGタイプの遺伝子を持つ聞き手はAG、AAタイプより「向社会行動」の評価が高かった。
努力次第でおもいやりアップ?
この研究について報じた現代ビジネスでは、「AG型、AA型でも自分を理解し、励まされることで、こうした遺伝形質に打ち勝って社会性を発達させることも可能なはず」とコメントしている。
科学的根拠がない慰めのように見えるが、最近の研究には、遺伝子そのものは変えられないが、遺伝子のもたらす効果は変えられる、とするものがある。
「遺伝子発動」と呼ばれるもので、生活習慣などを変えることで、遺伝的な特質がもたらす効果を変化させられるという。
◆ヘルス&ビューティー・レビュー
http://www.hbrweb.jp/news/2020