「もんじゅ」予算はノー
野田首相を議長とする行政刷新会議は20日にスタートした「提言型政策仕分け」で、福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」の研究開発費見直しを提言した。
あわせて2012年度予算に試験運転再開費用を計上することも見送るよう提言された。
原子力政策について、長期的には大きな判断が示された、と言える。
原子力はもう終わっている
自由民主党所属議員、河野太郎氏は21日に自身のブログの中で、原子力発電について世界的な潮流を紹介。原発はもはや、新興国が新興国向けにのみ推進するもの、と断じた。
第8回トルコエネルギーフォーラムで語られた内容として、1989年から2011年までの原発建設状況を紹介。それによると、1989年には424基だった原子炉は、2002年までには444基まで増加したが、2011には427基にまで減少したという。
また2008年以降に建設された原子炉40基のうち、25基が中国、6基がロシア、さらに韓国とインドが3基ずつと、この4か国だけで9割以上を占めている、とのこと。
供給元は中国企業20基、ロシア6基、韓国とインド3基ずつ。コスト競争などで日本企業が対抗できるものか、河野議員は疑念をていしている。
もんじゅ停止で終わる日本の原子炉
日本の原子力発電政策は、高速増殖炉の活用を想定してなりたっている。一般の原子炉で使用した核燃料を再処理して精製されるプルトニウムを高速増殖炉で再利用することで、コストパフォーマンスに優れた発電が可能となる、というわけだ。
この高速増殖炉が実用化できないと、国内にプルトニウムが大量に貯蔵されていく。プルトニウムは容易に核兵器に転用できるため、国際的に強い疑念を持たれることになる。
日本が原子力発電を継続することは難しくなるだろう。もんじゅ予算見直しは、原子力発電を停止する長期的な政策の第一歩と言えるかもしれない。
ただ、今回提言を行った政策仕分けは閣議決定されないため、省庁への強い拘束力はない。強力な推進力を持つ原発村に対抗できるのか、疑念は残る。
◆もんじゅ
http://www.jaea.go.jp/04/monju/◆河野太郎 ブログ
http://www.taro.org/2011/11/post-1122.php