アバターで老後を実感すると……
若者の老後をアバターで再現。その姿を本人に見せると、消費行動が抑制され、倹約家に変わる。スタンフォード大学で行われたそんな実験結果が、3月26日に発表された。
実験では、アバターとして制作した40年後の姿を3分間見せた後、お金に関する質問をしている。その結果、多くの被験者はアバターを見る前より消費衝動が抑制され、貯蓄したい、という強い意志を示したという。
映像として自身の姿を見ることで、老後をリアルに想像できる。言葉として老後の苦労を訴えられるより、はるかに強い危機感を抱くため、「倹約して貯蓄しなければ」という考えとダイレクトに結びつくもの、と分析されている。
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アメリカも老後は大変!
民間の年金などに恵まれている感があるアメリカだが、運用の失敗などもあり、老後の受取額は目減りしている。もともと個人の貯蓄額が少ないアメリカで、若者が現在の消費スタイルをそのまま維持した場合、老後の生活はかなり苦しいものになる、と予想されている。
今回の実験はそんな背景を受け、コンピュータ、経済学、神経学、精神科学などの専門家が集結。衝動買いを抑える革新的な方法を模索する中で行われた。
日本の年金不払いも改善?
変身した自分の姿を見ることで、さまざまな心理的な影響を受けるこの効果をプロテウス効果と呼ぶ。老化した姿以外にも、たとえば美形になった姿を見ることで、社交性が上がる、といった効果が報告されている。
貯蓄率が高い日本だが、年金の掛け金を支払わない若年層が増えている。老化したアバターを見せることで、この不払い率を改善できるかもしれない。
編集長 谷垣吉彦
Hour Face
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