交通事故による損失は3兆円超
日本損害保険協会は6月8日、「自動車保険データに見る交通事故の実態-提言と主な対策-」を発表した。交通事故の被害を経済的な側面から分析したもの。
報告書によると、2009年4月から2010年3月までの1年間で、日本国内の交通事故による経済的な損失は3兆2.069億円にのぼる。国民1人あたりに換算すると年間2万5000円を交通事故のために失っていることになる。
2007年に内閣府が発表したデータでは、同様の損失を6.7兆円と見積もっている。被害をより広く計算したものだが、GDPの1.4%にのぼり、国民一人あたりの負担は5万円を超えている。
高齢者は被害も加害も急増!
同報告では、物的な損失額を1兆7000億円あまり、人身損失額を約1兆5000億円と見積もっている。
特に高齢ドライバーによる事故が急増している。70歳以上のドライバーでは、2005年に比べ、損失額が10%以上増加しており、他の年代と比較すると、ずば抜けた増加率となっている。
また、高齢者では人身事故における損失額も大きいことが判明した。40歳未満では、一人あたり平均100万円に満たないが、75歳以上では200万円を超える。事故の影響が深刻化しやすく、死亡率や深刻な後遺症の残る率が高いため、と分析されている。
正しいシートベルト着用が生死を分ける
今回の調査で浮き彫りになったのが、腹部へのダメージがもたらす損失の大きさだ。部位別では、平均治療費、後遺障害率ともに最も高い。
また、自動車乗車中の事故でも、死亡率が最も高くなっている。シートベルトの着用が義務づけられているため、着用している人は多いが、正しく着用されていない場合、腹部に強い力がかかってしまう。骨盤を巻くように正しく装着するよう、同報告書では呼びかけている。
著:ハッピーライフエンド編集長 谷垣吉彦
◆日本損害保険協会 ニュースリリース
http://www.sonpo.or.jp/news/release/2011/1105_06.html