民間企業と県立大学が共同で開発
秋田精工株式会社(秋田県由利本荘市:以下秋田精工)と秋田県立大学(秋田県秋田市)が共同で開発を進めていた視覚障がい者用「スマート電子白杖」の製品化に成功したと発表された。5月31日より受注を開始している。
この「スマート電子白杖」は、秋田県立大学の岡安准教授が3年前から開発を開始。機械の設計・製作を担当する秋田精工が2年前から開発に加わり、同じくして県視覚障害者福祉協会(秋田県秋田市)も協力。海外製品と比較しても優位性を持つ軽量化と低コストを実現するに至った。
従来の機能アップ&電池採用で電源切れの心配もなし
「スマート電子白杖」は、視覚障がい者が使用している従来の白杖機能に加えて、杖の上部に取り付けられた超音波センサーで、正面と頭部前方の障害物を自動で感知、グリップとリストバンドの振動により障害物の情報を視覚障がい者に伝えることができる。
使用電源にはリチウム電池を採用。通常の方法で2~3か月は使用可能となっており、万が一電池切れとなっても、コンビニエンスストアなどで簡単に入手ができる。また、スイッチを入れた時に伝わる振動で、電池の消耗状況が分かる工夫もされている。
秋田県では購入助成を開始
なお秋田県では、今年度より「視覚障害者用電子白杖購入費助成事業」を創設して「スマート電子白杖」の購入者に対する助成を開始する。秋田県内の視覚障がい者は3,000~4,000人といわれており、このうち1,000人程度が対象になると考えられている。
軽量化かつ低コストを実現
すでに同じような電子白杖は国内でも発売されているが、ほとんどが外国製であり、値段も10万円から25万円と非常に高価であるため、必ずしも一般的に普及が進んでいるとは言えなかった。
今回開発した「スマート電子白杖」は、金型を用いて量産化に成功したため、約3万円という低コストで流通させることができた。
また一般の白杖とほぼ同じ軽量タイプであることから、県内だけにとどまらず、今後国内において幅広く活用されるものと期待されている。
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