急増する上海市の高齢者
2015年には、上海の高齢者人口が30%になる。4月28日、こんな予測を中国上海の共産党地方委員会機関紙、解放日報が報じた。
2010年12月31日時点で、上海における60歳以上の高齢者人口は331万200人に達している。全体の23.4%にのぼるが、今後も年々上昇するものと見られており、2015年には430万人に達すると予測されている。
高齢化は東京都とほぼ同じ
2015年度の予測では、東京都の高齢者人口は約25%となっている。上海が60歳以上を高齢者と見なしているのに対し、東京の統計は65歳以上を対象としているため、実際にはほぼ同じ程度の高齢化が進むと見られる。
また東京では総人口が減少するものと予測しているが、上海では人口が以前増加傾向にある。今後、地方出身の若年層が高齢化した両親を都市部に連れてくるため、高齢化は大規模かつ急速に進むと同市の人口統計局でも予想している。
罰金143億円? 一人っ子政策が原因?
高齢化は中国全土でも進行している。1979年から進められてきたいわゆる「一人っ子政策」の結果と言われる。
将来の働き手となる14歳未満の人口は16.6%となっており、10年前の23%に比べ、急減している。
にもかかわらず、中国政府指導部は一人っ子政策の堅持を表明。罰金を取り立てる国家人口計画生育委員会にとって大きな収入であるため、とも言われる。
ちなみに罰金は地方によってまちまちだが、年収の3倍から10倍とされている。アメリカのプロバスケットボールリーグ、NBAで活躍する姚明選手が「バスケットボールチームを作れるくらい子どもが欲しい」と語った際には、約143億円の罰金を支払うことになる、と試算された。
「未富先老」! 富む前に老いてしまう!
中国国内では、高齢化による経済的な失速が懸念されている。中国社会科学院人口・労働経済研究所の蔡所長は、安価な労働力を豊富に提供することで、これまで先進国との競争に打ち勝ってきたが、高齢化により労働力が減少、賃金が高騰することで、国際競争力が大幅に低下する、と警告している。
著:
ハッピーライフエンド編集長 谷垣吉彦
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