父と子の歴史
父親の後を追い、息子が同じ業界に入ると、そこには自然と友好的な競争が生まれます。
この場合、一般的に、父親は後続のために道を舗装する役割を担います。そしてその子は、父親の打ち立てた記録を超えようと挑戦するのです。
例えば、ボブ・ディランを父親と考えてみましょう。自分がもしその子だったら?恐らく簡単な道のりではないでしょう。
どうやって期待に沿う結果を残すか、そして、どうやって新しい音楽の歴史を築いてきた父親をしのぐのか -- 課題は重くのしかかります。
歴史的アーティストの父と同じ業界で生きる
ヤコブ・ディランは、現在40歳。父親、ボブ・ディランとの関係を抱え、現在も仕事に打ち込んでいます。
彼の最新のソロアルバム「Woman and Country」は、今月6日に発売されたばかりです。彼は自分の父親のファンを取り込むチャンスに恵まれています。
中東の影響を感じる彼の最新曲は、さしずめ、セントルイスの蛇遣いの音楽のようだと形容すべきでしょう。押さえたトランペットの音色が混じり、ジャンルを超越した唯一無二の音楽に仕上がっています。
ニューアルバム「Woman and Country」
オープニングトラック「Nothing But the Whole Wide World」は、このアルバムにぴったりな音色です。それはディランがこれから、彼の音楽を聴く人々を誘う、美しく、穏やかな旅へとつながります。
それから人々は、彼の厚みのある声と、何重にも張り巡らされた歌詞の重みを知ることになるのです。
「Down Our Own Shield」は、ニーコ・ケースとケリー・ホーガンの天使のような歌声のバックコーラスと、ディランのかすれた歌声のハーモニーが特徴的です。
この曲は、戦いの中でも強くい続けることを歌った感動的なバラードで、しかも音楽が見事に歌詞を補完しています。強力なイントロ部分は、すぐに安定したビートと張り合う男女の歌声につながります。
アルバムで特に傑出しているのが「Lend a Hand」です。全体を通して、この曲は昔のサーカスを連想させます。ディランは風変わりな首謀者のように、空想的な詩と巧妙な韻で、この音楽を聴く人々に物語を読んで聞かせているようです。
この曲は、重い、リズミカルなドラムで始まります。まるで飼い慣らされた象が、サーカスの舞台に立つ時に流れる音楽のようです。鳴り響くトランペットと、エレキギターのリフが合わさり、ディランはこう歌います。
“Suppose I quit you, my wayward tribe, whatever would you do?"
"Now take me to Hades, or take me to Memphis, just don’t take me for one of you.”
後編へ続く…
原文: Talent grows in the family tree(The Tartan)
http://thetartan.org/2010/4/12/pillbox/jacobJakob Dylan Music(公式サイト / 英語)
http://www.jakobdylan.com/music/women-country