カナダのオンタリオ州サンダーベイ市では、オンライン選挙に不安を抱く市民グループが人々に電子投票の危険性を知らせるための活動を行っていると、同市のニュースサイトであるTBNewswatch.comが報じている。
オンライン投票の危険性
Andy Wolff氏によると、オンライン投票では管理が人の手から離れてしまい、投票の監視が行き届かなくなる。また、情報がオンラインで蓄積されるため、秘密投票の原則が危機にさらされるかもしれない。
Wolff氏は手作業での開票に戻った方がよいと考えている。この場合は、全ての人が選挙と開票を監視できるからだ。
手作業での開票のメリットについて、Wolff氏は以下のようにも述べている。
あなたは投票のあらゆる段階を精査することができる。もし不一致があれば全ての人にそれがわかる。非常に多くの人が投票から開票に至る工程に関わるので、不正工作をすることが難しくなる。
逆に投票率が低下する可能性も?
Robert Wiley氏は、彼の友人たちや家族はサンダーベイの電子集計に懸念をもっていると話す。オンライン投票はコミュニティの参加の度合いを低下させ、ひいては投票率の低下につながる可能性があるからだ。
サンダーベイ市のオンライン投票の歴史
サンダーベイ市は電子投票を1997年に導入し、それ以来、自治体選挙では毎回電子投票を利用してきた。
しかし、2003年にはコンピュータの誤作動により、一部の票が重複して集計された。その後、このエラーはすぐに修正され、選挙管理官は公式の集計が正確であると保証した。
この間違いにより、Eric Leatという市民が手作業での再集計を要求したが、彼の要求は2004年1月に司法官のJohn Wrightによって完全に却下された。Wright氏は機械の精度を部分的にでも監査することが望ましいと提案した。
市職員であるJohn Hannam氏はインターネット投票がコスト効率が良いと提案したが、Wileyはコストや効率は選挙においては二の次であり、最も重要なのは公正と完全性と透明性であると述べた。
実はコストもかかる?
最近の調査では手作業での開票は296,904カナダドルの費用が必要であるが、電子集計の場合は361,643カナダドルもの費用がかかることを示している。来る10月の選挙にインターネット投票を追加した場合のコストは試算されていない。
Wiley氏とWolff氏は人々が電子投票やオンライン投票を取り巻く問題に気づく必要があると話す。Wolff氏は意識を高めることがカギになると述べている。ミーティングの回数を増やし、大学生にも参加してもらいたい意向だ。
Hand count
http://www.tbnewswatch.com/entertainment/86504/Hand-count