インターンシップが一番危ない時期
医師の間では、インターンシップは余り良い記憶が残る1年ではないでしょう。恥ずべき思い出の詰まった年となることがほとんどです。
医学大学に4年通い、資格試験にも合格し、医師はその後、病院の監督下で1年間の訓練期間を経験します。
アメリカの精神医学にかんする学術誌、「Archives of General Psychiatry」の6月号に掲載される報告によれば、臨床医でうつ症状を発病する割合が特に高いのも、インターンシップの期間です。
どんどん長くなる勤務時間、精神的な負荷が高い生活のできごと、更に遺伝的要因やアメリカ国内で医学教養を持つことは、医学インターンの抑うつ症状に関連しています。
「インターンシップはストレスの多い時期として知られています。」
と、話すのは前述のArchives of General Psychiatryの記事を書いた著者です。
「医師に成り立てのインターンは、長い勤務時間、睡眠不足の状態に陥り、自律的な感情や激しい感情も失いがちです。」
珍しい抑うつ症状に関連する要因を探る研究
医学インターンの間に広まるうつ症状を取り上げ、一般よりも状態は深刻とする研究はありますが、原因となる要因を掘り下げる研究は、あまり多く見られません。
アメリカ、コネチカット州、ニューヘイブンのイェール大学出身で、医学博士号を持つスリジャン・セーン氏は、現在ミシガン大学に所属しています。彼は、同僚のアン・アーバーとともに、アメリカ13州で、2007年と2008年に研修プログラムに参加した740人の医学インターンを対象に研究を行いました。
検査方法
研究の被験者はオンライン調査によって、うつ症状の見極めが行われました。個人的な要素と医学教養に関連する要素が調べられ、更に調査には数種に及ぶ精神学的な検査も含まれていました。
3か月後、半年、そして1年後と、被験者であるインターンたちは、抑うつ症状の度合いを測る追加の検査も受けました。勤務時間やインターンシップ中の医療ミス、更に生活によってもストレスは大きく変化するからです。
被験者の63%に当たる409人は、遺伝子検査のために、だ液のサンプルも提出しました。
医学インターンの抑うつ症状の要因
抑うつ症状の度合いを表す平均値は、インターンシップ中に増加する傾向が見られました。27点中10点以上だと、うつ病の可能性が高いという検査で、インターンシップ開始前の平均点は2.4。インターンシップが始まってからは6.4に上昇しました。
加えて、うつ病の傾向が見られた被験者の割合も、インターンシップ前の3.9%から、インターンシップ期間中25.7%にまで上昇しました。
「女性かどうか、医学的な教養があるかどうか、幼少時の家族環境に難があるか、うつ病の典型的な症状はあるか、抑うつ症状たる基本的な項目は当てはまるか、神経症的な傾向が見られるか、といったような、一連の要因はインターンシップ前に調査されました。」
「インターンシップ中には、勤務時間の増加、医療ミスの発生具合や、ストレスのかかる人生の出来事などが抑うつ症状の増加の背景にありました。」
と、著者は記事に書いています。
「更に興味深いのは、医学の専門性や年齢などのたくさんの要因に、うつ病との関連が見られなかったことです。」
「うつ病の発病を防ぐ対応は、現在様々なところで行われているので、インターンは助けを求めることができます。ここで判明した予測可能な抑うつ症状の要因を知れば、症状が深刻になる前に、対処することができます。」
Stress of Internship Ups Physician Depression
http://psychcentral.com/news/2010/04/09/stress-of-internship-ups-physician-depression/12720.htmlArchives of General Psychiatry
http://archpsyc.ama-assn.org/