手続きしたのに投票できない!?
イギリス初のインターネット選挙と言われた今回の総選挙では海外在住の英国人の関心も高かったようだが、一方で在外投票のシステムに問題が頻発したようである。
イギリスの在外投票は、郵送投票か、または英国内に在住する家族による代理投票の2種類から選択することができる。いずれも、事前に所定の手続きが必要となるが、適切に手続きを済ませたにも関わらず投票ができなかった人々から大手メディアのBBCに苦情が数多く寄せられているという。
シンガポール在住のアリクスさんの事例
アリクスさんは同じく英国で選挙権を持つ婚約者と共に、郵送投票をするためにシンガポールから有権者登録の手続きを行った。手続きに問題はなかったはずだが、結局、郵送投票用の投票用紙が彼女の元に届くことはなかったという。
彼女は次のようにコメントしている。
「オンラインで状況を確認すると、私の投票用紙はすでに1週間前に届いていることになっていた。それから毎日のように郵便受けを確認したが、結局何も届かなかった。」
フランス在住のジェイムズさんの事例
ジェイムズさんも同様に、期限内に郵送投票の登録を行ったが、パリの現住所に投票用紙は届かなかった。どうやら間違ってイギリス国内の旧住所に届いていたようである。ジェイムズさんは、急きょ英国在住の母親による代理投票に切り替えて何とか投票できたようである。
彼は次のようにコメントしている。
「まるで自分の投票権が否定されたように感じて非常にがっかりしている。」
他にも様々なトラブルが
上記の事例以外にも、BBCのサイトでは、在住国の大使館から適切に情報提供がなされなかったことへの不満や、郵送用の投票用紙が届くのが遅すぎて期日までの返送ができなかったケースなど、様々なトラブルが報告されている。
在外有権者の為に在外公館での投票を実施している国は多いが、イギリスはこの方法を採用しておらず、郵送投票か代理人投票しか選択肢がない。しかし国によって郵便事情が異なっているため、郵送投票はトラブル発生のリスクが高い。通信手段が多様化している今、より確実な在外投票のシステムが検討されなければならない。
Election 2010: Overseas voters 'denied
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/election_2010/8666824.stm