現代にも残る影響
ベラ博士と彼の研究チームは、ダーウィンから4世代以内のダーウィン家とウェッジウッド家の子孫にあたる核家族25組を研究対象にしました。当時より、この家系の子供の死亡率は低くなっていたそうです。
しかし、両家は高い近親交配のこん跡を残しており、健康面で研究チームが評価したところ、この家族の子孫は5.4%の減少傾向が見られたと言います。加えて、ダーウィンの子供の常染色体ゲノムは、6%が同一(つまりホモ結合)のものでした。
この数値から、 2世代以内のいとこと、およそ4回の交配があったと推測されます。
子供の死に強い影響
ダーウィンの子供たちに身体的な奇形や、精神的な疾病があったという記録は残っていません。ですが、亡くなった3人の子供は、遺伝性の疾病に悩まされていたようです。
ベラ博士と研究チームによれば、これは高い近親交配の度合いによるものなのだそうです。1人は生まれてから23日で亡くなり、もう1人は発育異常で18か月のときに亡くなりました。3番目の子は結核で亡くなりましたが、これも近親交配によって病気の危険性が高まった結果だということです。
近親交配の背景
たくさんの有名な家系や有力な家族の血筋は、配偶者に近親者を選ぶことで知られています。
例えば、ハプスブルク家や、古代エジプトのファラオたちも、度合いに差はあれど、親族と結婚しました。歴史的に見れば、家族が小さく、孤立しているほど、当時はこれが一般的でした。
しかし、ダーウィンの時代は既に、「近親交配が難聴や無言症、盲目など」につながると認識されていました。ダーウィンも1870年、国会議員のジョン・ラボックにあてた手紙の中に書いています。
ダーウィンは政府が、いとこ同士の婚姻の頻度と、彼らの子孫の健康状態にかんする国勢調査に乗り出すことを望んでいました。彼はこの影響力をイギリスの国勢調査に含める要求をしています。
しかし、ダーウィンの要求は拒否されました。一方で、彼の疑問は、今日もいきつづけています。アメリカの半数以上が、いとこ同士の結婚に明確な反対意見を持っています。
原文: Katherine Harmon (翻訳: Miyuki.T)
原文: Charles Darwin's family tree tangled with inbreeding, early death (Scientific American)
http://www.scientificamerican.com/blog/post.cfm?id=charles-darwins-family-tree-tangled-2010-05-03BioScience 2010 Online (英語)
http://www.aibs.org/bioscience/bioscience_online_2010.html