学生が設計した戸建て住宅をメーカーが売り出す
建築を学ぶ学生に描いてもらった設計図通りに戸建て住宅を建て、実際に売り出す。こんな思い切った産学連携事業に、
八戸工大土木建築工学科と同市の住宅メーカー・
第一ホーム(岩渕義昭社長)が取り組んでいる。12日に応募対象の3年生8人がそれぞれ自由な発想で描いた設計図を提出し、現在審査中。今月下旬に優秀作1点を選び、5月に着工する。
大学の建築系学科では設計の基礎は一通り学ぶが、実際の戸建て住宅を建てる際の条件などを踏まえた図面設計や法的な手続きなど、実践面はなかなか教えられないのが現状。そこで、第一ホームに同大OBが勤務している関係などから、岩渕社長が「学生に実践的な理解を深めてもらいたい」と提案した。
法的手続きなど、学生に実践的な取り組みを
優秀作に選ばれた学生は建築基準法などの法的な手続きも自分で処理する。学生にとっては初めての体験ばかりだが、同大出身の同社社員がサポートするという。完成までの一連の体験をまとめた論文は「卒業研究」に認められる特典もある。
2005年の耐震強度偽装事件をきっかけに、建築士法が改正された。建築士試験の受験資格も単に学科を卒業するだけでなく、国土交通大臣が指定する建築関係の科目の履修が求められるなど、厳格になった。
このため、大学としても学生により実践的な取り組みを学んでもらう必要があったという。同大の月永教授は「大学では実際に建物を建てる機会はなく、ありがたい提案。テーマに沿ったそれなりの設計図が提出された」。岩渕社長は「住む人がいることを考えて設計してもらい、そのうえで完成時の感動も味わってほしい」と話している。